鈴木 洋平(すずき ようへい) 行健除染ネットワーク代表にインタビュー

鈴木 洋平(すずき ようへい) 行健除染ネットワーク代表にインタビュー

日 時:平成26年7月18日(金)、午前10時30分~11時30分
場 所:NPO法人ウェッブストーリー
訪問者:今井淑子、大橋佳代

1.行健除染ネットワークについて教えて下さい。いつから、どのようなきっかけで始めたのですか?

10458024_791606770884787_3504409659616616007_n平成23年3月11日の震災翌日から休校になった学校で、当時の行健小学校の村上校長先生が、休校の間に自ら放射線量を測りながら学校内を洗ったり、土を はいだりして、放射線量が下がることを確認していたのです。一週間遅れで始まる新学期の前日に私を含めPTA役員が校長室に呼ばれ、そのことを聞きまし た。役員の大半は、「国が大丈夫って言ってるのだから・・・」との思いでしたが、校長先生からの「次に原発に何かあったら、郡山市は子どもだけを避難させ る準備をしている。バスを手配している。」との言葉に、場の空気は一変「私も一緒にやります!」と強い決意をしたのがきっかけです。こうしてゴールデン ウィーク明けから、PTAの有志とともに除染活動がスタートしました。

2.具体的な活動をご紹介ください。

初めは、有志がおこずかいで電気式の高圧洗浄機を買って持ち寄り、学校の中を洗浄していきました。そして1学期の終わりに学区内の線量を測って「線量マッ プ」を作って配りました。夏休みには子ども達の活動範囲が広がることが想定できましたので、それまでにお知らせしようと作成しました。せめて線量の高いと ころに近づかないでほしいとの思いでした。
また、除染活動を始めて間もない頃、東京の友人が高圧洗浄機を何台も小学校にプレゼントしてくれました。そのおかげでPTA活動として参加者を募ることが でき、たくさんの保護者が参加してくれたのです。その後「郡山市の線量低減化活動支援事業」という住民除染の補助金制度が始まり、これでエンジン式の高圧 洗浄機を買って通学路の除染を開始しました。こうした活動を通じて、町内会や他校の除染にも協力するようにもなりました。
現在は、「高圧洗浄機を使わない、身近で安価な道具を使用する、誰でもできる、周りに散らさずに取る、安全に保管する」という方法で除染を行っています。具体的には、(1)クエン酸洗剤を撒いて浸透させ、(2)ブラシ掛けをし、(3)掃除機で吸い取るという方法です。
特別な機械や技術も要らない方法なので、自らやりたい市民の方々へご案内して、知っていただくための活動もしています。
また、現在は行政の除染も進みつつありますので、今後は詳しい線量測定をした結果を皆さんにお知らせし、ホットスポットがあった場合に対応していくような活動になっていくと思います。

3.機材や活動の費用はどうされていますか。

費用の大部分は、有志で出し合っています。この他、昨年までの市からの補助金で、機材の多くを揃えることができました。また、ある団体から「ホットスポッ トファインダー」という高性能の放射線量測定器を貸して頂けたりと、皆さんがご協力して下さっています。この機器は、持って歩くだけで1秒ごとに測定して 位置情報といっしょに地図上に放射線量を記録することができます。
今後、郡山市には、機材の貸し出し、消耗品の支給、やり方の指導などを含めて、除染を続けていきたいと思う人達を後押ししていただける支援事業を、市独自で実施していただけるようお願いしたいです。

4.ご苦労されたこと、されていることは?

苦労しているとは思っていません。思うように線量を下げられないときには、どうすれば下げられるかを考えて工夫することが楽しいですし、私たちの除染活動 は、子どものためにやりたいと考える方々が自主的に参加して成り立っているからです。これをやり続けることができるのは、たくさんの方々のご協力があり、 また新しい出会いもあります。もう要らないと思えるまで、まだ活動を続けます。

5.今後どうしていったら良いと思いますか?

被ばくの健康被害について、私たち住んでいる人たちの考え方はそれぞれですが、何も気にしていない人はほとんどいないと思います。口には出さなくとも、ここに住んでいるストレスは続いています。
私たちは、行政にお願いするばかりではなく、市民も自ら考え、行動して、みんなで以前の郡山市を取り戻したいと考えています。
どんなに理由を挙げようとも、子どもたちの被ばくを仕方ないとすませることはできないと思うのです。
除染を継続することと、その成果と必要性を発信し続けることが大切だと思っています。

※行健除染ネットワーク活動ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/koken_s_ray