原 寿夫(はら ひさお)社団法人郡山医師会郡山市医療介護病院院長にインタビュー

原 寿夫(はら ひさお)社団法人郡山医師会郡山市医療介護病院院長にインタビュー

日 時:平成26年3月10日(月)、午後1時30分~2時30分
場 所:社団法人郡山医師会 郡山市医療介護病院(郡山ビッグハート)
訪問者:今井淑子、大橋佳代

1.医療介護病院がつくられた経緯を教えてください。

院長以前当院の場所にあった国立病院が、須賀川市の国立病院と統合され、移設することになりました。その時に市と郡山医師会で、この跡地で「郡山のためになる医療施設を作りたい」という声があがり、平成18年6月開院しました。
郡山市には、救急と救命の医療機関、それから生活に近い福祉施設もありました。しかし、それを繋ぐ介護機関がなかったのです。当時は“介護”という言葉さ え無かった時でしたが、「求められるものをやっていこう」という方向性だけは決めていました。高齢者と障がい者のための施設を創りたかったのです。

2.医療介護病院とはどのような病院ですか。通常の病院との違いはどんなところでしょうか。

医療と介護をつなぐ病院です。看護師と介護福祉士は半々、同じ人数います。
診療は、医療支援か介護支援か、どちらで対応すべきかを見極めていきます。医療の支援を受けていた方が治療後に介護の支援が必要になったり、または介護支 援を受けていた方が治療も必要になり医療支援を受けることになったりする場合など、状況によって必要とする分野が変わった時などに対応していきます。
様々な病気などで障害を持たれた方に対し、その方の希望に沿った自分の生活に戻るための時間を過ごしてもらう病院なのです。医療と介護、両方を備えた病院が作られたのは全国初で、おそらく1つしかないでしょう。

3.地域包括ケアとはどういうことですか。

院長と大橋医療と介護が連携し合い、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるような総合的な支援をすることです。
厚生労働省では、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成35年)を目途に、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目標としています。
地域の特性に応じて作り上げていかなくてはなりませんので、当院では「地域包括ケアネットワーク会議」などでの交流・勉強会をしているほか、患者さんやご家族の方の相談窓口を複数設けて利用者の側の声を聞くなどして取り組んでいます。

4.在宅療養を希望する方はどのくらいいますか。

患者さんの7~8割の方が希望されます。在宅といっても、必ずしもご自宅というわけではなく、生活の場のことです。ご家族がいる自宅だったり、独り暮らし の方は老人施設などで、グループホームなども含まれます。それぞれのご家族の状況・事情によるもので、さまざまです。今後は多様なスタイルが求められてい ます。

5.これからの医療と介護はどのようになっていくと思いますか。また、問題点などはありますか。

医療と介護の制度は別ですが、利用する方にとってはどちらも同じ。どちらも利用して、大きな病気をしても今度は介護の方で努力すればまた生活の場に戻れるという、希望が持てるケアが求められています。
それから、介護保険外(障がい)の方の対応が必要になってきます。受け皿が無いのが深刻な状況で、家族の力に頼るしかないのが現状です。障がい者の方のケアはもっともっと必要です。
あとは、福島県の医師不足。人口10万あたりの医師の数は全国ワースト4位で、特に産婦人科医と小児科医の不足が深刻な問題です。