白石 清春(しらいし きよはる)JDF被災地障がい者支援センターふくしま代表にインタビュー

日 時:平成26年11月13日(木)、午前10時30分~11時
場 所:JDF被災地障がい者支援センターふくしま交流サロンしんせい
訪問者:横田洋子、大橋佳代

1.JDF被災地障がい者支援センターふくしまはどのような目的でいつ設立されたのですか?

1私は40年以上にわたって仲間たちと障がい者運動を行ってきました。平成13年(2001年)3月には「NPO法人あいえるの会」を立ち上げ、現在も介助派遣事業、相談支援事業、生活介護事業と障がい者の生活支援に力を入れた事業を行っています。
平成23年(2011年)3月11日東日本大震災が起こったとき、大変な事態だとまず仲間を心配しました。「仲間が困っている。放っておけない。」との思いですぐに行動に移しました。
そして「JDF被災地障がい者支援センターふくしま」を震災から一週間後の3月18日に立ち上げ、まずは被災した地域の障がい者関係事業所に支援物資を届 けることから行っていきました。その後、作業所関係のボランティアの方が1日20人くらい来てくれて、みんなで福島県内の避難所を回り、障がい者の方がど んなことで悩んでいるか聞いて回りました。200件位回って110名くらいの方と話せました。また、津波と原発で大打撃を受けた南相馬の事業所で職員が足 りないと聞き、応援に行きました。

2.障がい者の方はどのようなことで困っていましたか?

避難所には段差が多く中に入りにくかったため、駐車した車の中にいる方がたくさんいました。自閉症の方は、大勢の人の中に入るとパニックを起こしてしまうこともあります。 避難所内に入れても床に寝るのは困難です。
このような相談を受けて県に要望を出すなどの活動を続け、6月1日からは県からの支援を受け、支援センターへ相談員を派遣しました。こうしてだんだんと双葉地区の方の顔もみえるようになり、今のようなスタイルで私達のところへ集まれるようになったのです。

3.交流サロン「しんせい」ではどのような事業をされていますか?

2福島県障がい者自立支援拠点整備業務受託により、「避難生活の続く障がい者の自立に向けた支援活動」「被災の影響を受ける就労系事業所の支援活動」を行っています。
被災を受けた障がい者の自立につながる支援として、調理実習や園芸などを行い、また、一般就労や福祉的就労へステップアップするための準備として商品を製作・販売をしています。
被災した就労系事業所への支援として、長期避難の続く事業所と連携し、共同で仕事づくりを行い、また、支援団体や企業と現場をコーディネートする事務局としての役割も担っています。
被災障がい者の居場所をつくり、継続して就労できるネットワークをつくることで、自立につながる支援を行っています。 障がい者が長く働き続けられる、ビジネスとして継続できる事業をつくることが課題でした。 現在、下記の3つの商品の製造・販売をしています。
●つながりのかばん28・・・ふたば製作所では、全国からご支援頂いた使用済み封筒でかばんを作っています。(“28”は“ふたば”と読みます!)
●裂き織り・・・双葉郡の連携事業所で裂き織りを作り、カバンなどにしています。
●魔法のお菓子 ぽるぼろん・・・企業から支援を受けながら郡山市と双葉郡の連携事業所がお菓子作りを行っています。

4.「魔法のお菓子 ぽるぼろん」について教えてください。

スペインの伝統祝い菓子をお手本にしたシナモン風味の焼き菓子です。「ぽるぼ3ろん、ぽるぼろん、ぽるぼろん」と3回唱えて食べると願いが叶うという言い伝えがあります。
県内の11の福祉事業所などが力を合わせ約200人が参加し製造、販売しています。包装を開けやすいよう切り込みを入れたり、紹介するしおりを挟んだり、1つひとつ手作業で丁寧に進めることを大切にしています。詳細は交流サロンしんせいホームページをご覧ください。

5.今後の展望などメッセージをお願いします。

任意団体としての活動には限界がありましたので、継続していくためにNPO法人を設立しました。
支援センターふくしまでは、被災した障がい者の支援をしています。現在の生活でお困りのことがありましたら、お気軽にご連絡ください。今、被災した障がい 者の方が福島に戻ってこれない現状があります。戻りたい人が戻って来れるよう、この場所を維持・継続していきたい。予算を維持できるよう働きかけていきま す。